10月26日(土) UPAナショナルズ三日目

今日からはいよいよ決勝トーナメントが始まる。優勝するためには負けることは許されない。1試合目の相手はSub Zero(ミネアポリス)。Sub Zeroとはこの夏の世界クラブチーム選手権の準々決勝で対戦し、17-16で辛くも勝利を納めている。

しかし、この日のFurious Georgeは気合が違った。ディフェンスチームの調子が良く、ターンオーバーを起こすと確実に点に結びつける。2-1リードから2連続ブレイク。4-2リードからさらに2連続ブレイク。オフェンスも相手にブレイクを許さず、8-3のFurious Georgeリードで前半終了。

後半も常にFurious Georgeペース。リードを着実に広げ、14-7とゲームポイントを握る。ここでやっと僕にこの試合初の出番が回ってくる。サイドラインから声をからしながら叫んでいた甲斐があるというものだ。

ディフェンススタートのFurious Georgeは1-3-3を試みる。僕のポジションは"1"、つまりマーカー。とにかく相手を集中して見ながら、すべての動きについていく意気込みでマークする。相手はやっぱり僕より大きいので、いくつかマークをブレイクされたが、大きなブレイクはない。7・8本パスを回したところで相手が痛恨のキャッチミス。

しかし、うちがロングパスをミスして相手に再びオフェンス権を与えてしまう。そして再度1-3-3を試み、また相手のミスを誘うことに成功。今度は落ち着いてタイムアウトを取り、次のプレーを確認する。

そのプレーとはハンドラーの僕にスウィングパスを出した後、ディープから1人オープンサイドに突っ込んでくるオーソドックスなオフェンス。そしてそのプレーが綺麗に決まる。でもゴールから少し距離があったので得点には至らない。

トラップサイドからダンプパスをもらった僕はマーカーをブレイクしてスウィングパスを出す。ハンドラーの仕事に専念。そしていくつかのパスの後、ファールを受けたスローワーのへろへろなスロー(「ファール!」って言いながらスローした)が僕の目の前に飛んでくる。ディフェンスも僕も両方ダイブしたが、ほんの少しだけ速くダイブした僕がそのディスクをキャッチ。

そして起きるやいなや、ファールを受けながらバックハンドでマーカーをブレイクするスロー(ちゃんと「ファール!」って言いながら投げましたよ)。そのパスをゴール前で取ったプレーヤーが簡単なチョイパスを決めて、ゲームセット。15-7でFurious Georgeの勝利。

チームも勝ったし、僕も納得いくプレーができた。たった1ポイントだけだったけどね。試合後はみんなに「Nice playing!」と声をかけられた時はうれしかった。試合中も体を冷やさないように常に体を動かして出番を待っていた甲斐があった。チームの盛り上がりも最高潮だ。優勝まであと二つ。やるしかないっしょ、ここまで来たら。

準決勝の相手は準々決勝で去年のチャンピオンのCondorsを破ったDoG(Deth or Glory:ボストン)。昨日の順位決定リーグでは勝ったが、それは過去の話。この試合は全然別ものということを肝に銘じなければいけない。ここまで来るとたった一つのミスが試合を左右するからね。

試合はDoGのオフェンスで始まる。先にブレイクしたのはFurious George。ジョニー(ジョナサン:NY・NY黄金時代を築いたプレーヤーの1人)の4-3とリードを奪う。しかしDoGもすぐにブレイクバック。さらにオフェンスをキープして5-4のDoGリードに。6-6から再び、Furious Georgeがブレイク。7-6と再びリードを奪うが、またまたDoGがすぐにブレイクバックし、8-7のDoGリードで前半を折り返す。

前半のターンオーバーの数は両チーム合わせてたった4つ。しかもそのターンオーバーすべてがブレイクに結びつくというしびれるような展開。風がほとんどないというここ数日の天候では集中した状況ではなかなかオフェンスがミスらないということだろうか。

Furious Georgeのオフェンスで始まった後半もオフェンスのキープ合戦が続く。11-11までいったところで、Furious Georgeのタイトなディフェンスに我慢できずにDoGの#6ネイスンがスローミス。というかもう1人のハンドラーとのコミュニケーションミス。

そのターンオーバーを確実に繋ぎ、Furious Georgeが三度ブレイク。12-11とFurious Georgeリード。ここから、ほんとに手に汗を握る試合になる。オフェンスのキープ合戦が続く。両チームともにターンオーバーせずに得点を確実に積み重ねる。

お互いのディフェンスの決して悪くはない。ところどころでオフェンスが行き詰まるのだが、ターンオーバーまでは至らない。ただただ、両チームのオフェンスがすごく集中しているといった感じだ。

そして14-13とFurious Georgeがこの試合初めてのゲームポイントを握る。ここでFurious Georgeはこの試合初めて、オフェンスセットのカークとマイク、アルをディフェンスセットに投入。この試合を決めにかかる。

しかし、それでもDoGのオフェンスは動じない。苦しみながらも得点をして14-14のタイに。この後におよんでもオフェンスのキープ合戦が続く。15-14Furious Georgeリード。15-15タイ。16-15Furious Georgeリード。16-16タイ。

ハードキャップは17点。つまり取ったもん勝ちという状態になる。この時に観客の興奮は最高潮。もう一つの準決勝は既に終了していたので、コート周りを群集が囲み。スローオフ直前にはスタンディングオベーションが起こる(実際にはもとから立っている人の方が多いのだが…)。

両チーム後がない展開で、Furious Georgeはそれまで通りのオフェンスセットを投入。ここでDoGはオフェンスセットのフォーチュナットをディフェンスセットで投入。もうこうなったら、両チーム総力戦だ。

ここでDoGが仕掛けてきたのはジャンク(おそらくクラムか1-3-3ゾーン)。後で聞いたのだが、このナーバスにならざるをえない状況がうちのスクーバやブレードといったそれまでゾーンに対して多用していたスローを躊躇させると考えたらしい。実際そうだったので、DoGはやっぱり賢いと言える。

でもほんとにこの試合のオフェンスセットは集中していた。確かにスクーバやブレードはなかったが、確実にディスクを回しゲインしていく。そして最後は19歳のダレクからもう1人の19歳、オスカーへラストパス(こんな若いプレーヤーがオフェンスセット、このチームの将来もしばらくは明るい・・・かな?)。それをオスカーが綺麗なダイビングキャッチ。試合終了だ!

17-16でFurious Georgeの勝利。決勝進出だ。みんなダイビングキャッチを決めたオスカーのところに集まり、喜びを爆発。強敵DoGを破っての決勝進出だから喜びも確実だ。

この試合を振り返ると両チーム合わせてターンオーバーは5回。うち前半は4回だったから、後半はたった1回。つまりFurious GeorgeがブレイクしたポイントでDoGがおかした一つだけだったのだ。Furious Georgeのオフェンスは後半ノーミス。風がないとは言ってもこのハイレベルでそれをやるのは簡単じゃない。DoGのオフェンスを素晴らしかった。でも、ほんとに一つのミスが勝利を左右することになったのだ。

この試合、僕の出番は無し。ひたすらサイドラインから声を張り上げ、ディフェンスをヘルプし、オフェンスを盛り上げていた。明日も試合がある。調子はいい。自信はあるし、実際、今日の1試合目では思い通りのプレーができた(1ポイントだけだけどね)。しっかりと準備して出番を待つ。今年の全てが明日終わる。今年のすべてをかけて明日に臨む。

ちなみに明日の相手はSockeyeを準決勝で15-8と言う大差で破ったRing of Fire。このチーム、去年はベスト8に入れなかったが、かつては常に上位に顔を出していた強豪チーム。ここまで来たら、過去の試合がどうとか、実力がどうとか関係ない。全力を出し尽くして叩きのめすのみ。

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